本 「をんな紋」 まろびだす川&あふれやまぬ川

玉岡かおる著。

読み終わったの、実は去年。
感想書かなくちゃ、書かなくちゃ、と思いつつ、重すぎて。

あれ、この“重すぎて”どこかで使ったな…。
と思ったら、「天涯の船」だった。
同じ、玉岡かおる著、です。

“重い”からの“忘れた”も、同じなのだ。
誰にともなく謝ってみる、スミマヘン。

そして忘れてしまったながら、そろそろMWさんに返さなくちゃ、と思って、いくつか心に残った部分を書き出してみる。

女系家族で家を継ぐ運命の柚喜。
この時代には珍しく、女子師範学校で勉強をしているのを、時代風潮か揶揄するように。

「ほんでも、柚喜ちゃん、気ぃ悪うせんとってや。そないに賢すぎたら、逆に婿はんの方はみつかりにくくなりまっせ。」(中略)「新宅のハルをみなはれ、たいして器量もようない、気ぃも回らん子ぉやけど、こないして早うから嫁にいきましたがな。(中略)女はやっぱり嫁入ってこそ一人前だっせ」

その柚喜が、それなりにいろんなことを経験し、嫁に行くことを決意する、そこで「まろびだす川編」が終わる。

次に。
「あふれやまぬ川」

すっかり柚喜の嫁としての手腕が描かれる話かと思ったら、柚喜はもうご隠居さん的になっている。
玉岡かおる、斬新、ダ。

少し徘徊クセのついた千賀を迎えに行った帰り。

「私、忘れてしもうてな。どなしても思い出されへんのや。何やったかいなあ? (中略) “死にながら―微笑みながら、花のよに“」
謡の一部でもあるような、あるいは短歌の上の句のようでもあるような、そういう言葉であった。しかしそれは決して縁起のいい言葉のようには思えなかったので、氷菜は思わず夫の顔を見た。
だが、横から千賀を支えていた柚喜は、ひるむことなく、千賀の耳元に顔を近づけると、答えてやった。
「欠けてし月も、今は満ち満つ」(中略)
「ええ歌や。その言葉、買うた」
ほとんど空同然の財布の中から、一銭銅貨を取り出して、大事そうに柚喜の掌に握らせた。
(中略)千賀はゆっくりうなずくと、それですっかり満足したらしく、おとなしくまた紘一の背に負われた。


戦時中、家族のためのもしもの時に、と、蔵の奥に隠し持っているものを怪しんで憲兵がやってきた。
それを上手に追い返したあと。
「あんた、よううまいこと切り抜けてくれた」
「いや、ああいう場合は、お母はんみたいに口が立つより、腰を低うするんが一番や」
(中略)何をやらせても二番手に回るこの禎二が、あのように波風をたべす憲兵を追い返したことに、柚喜は少なからず感動してた。
「大きな目的があるんやったら、その前の小さなことなんか、どんなことでも我慢できる。兄ちゃんが帰るまで、がんばらあかんもんな」



最後の解説読んで、驚いた。

「をんな紋 あふれやまぬ川」は、三部作小説…

へ? 三部作? 二冊しか借りてへんけど?

「同 まろびだす川」「同 はしりぬける川」の三冊目、つまり完結編にあたる。


はしりぬける川…、読んでない。
借りてない。

なるほどー。
どうも柚喜の人生が、抜け落ちた、と思ったんだよねー。
おかしいと思ったよー。
玉岡かおる、斬新、なんて思っている場合ではなかった。

MWさん…。
貸元がMWさん、やられた。

と、言うわけで、これも大河、な話なのだけど、なんとなくぬけぬけ、ではあるものの、面白い引き込まれる話でした。(ほんとか?)


角川文庫。


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