本 「沈まぬ太陽」 アフリカ篇 上・下

山崎豊子著。

日本航空の御巣鷹墜落の背景を描いた小説、と認識あって、「クライマーズ・ハイ」を読んだ後、いつか読んでみよう、と思ってた。

で、本屋さんで見たら。
え? 5巻…?
え? 最初にアフリカ篇…?

5冊の長期戦に気後れ。
アフリカから始まるってことは、御巣鷹に至るまで、結構な背景があるかと思って二の足。

で、意を決して、いよいよ、手に取ってみた。

アフリカ篇。

主人公の恩地。
アフリカの大地で象をハントしに出かける描写。
そこから始まる物語は、人生をそれなりに楽しんでいるワイルドな男性の話に見える。

でもその背景には、懲罰人事と思われる転勤で苦汁を飲まされている男の話。

読みごたえはさすがの、山崎豊子? (と、語るほど、やまとよ、読んでなかった)
描写がわかりやすく、読み進めるのに苦労はない。

ただ、ひとつ、わたしがわからないのは、労働組合の仕組み。
必要な団体、必要な折衝、だというのは頭ではわかるんだけれど。
なんだか、稚拙な言い方をするとしたら…。

会社の決まりごとに楯突く団体の存在、折衝のやり取り、が理解できない。

社長からの叱責。

「君は一体、何を考えているんだ! ことの起りは、すべて君自身にある(中略)。専務が、株主総会から一ヶ月ほどして、組合の前委員長に会いたいと云った時、君は“首実検はご免だ”と断ったそうじゃないか、何という馬鹿げたことをしたんだ、会って話せば、君は理屈っぽいが、職場の不平等の是正を求める理想主義者で、アカとは無縁だということが解って貰えたのに(中略)」


そう言われた恩地には言い訳はある。
でも、そこまで言われても組合員を守ろうとするために恩地が行う行動がわからなかった。

土地の治安や、子どもたちの勉学を考え単身赴任するアフリカの恩地の所へ、夏休みに遊びに来た息子と娘と妻。

日本では社宅に住み、恩地の不遇を知る人たちに囲まれている。
同情的だけではない。
中には口さがないことが子どものあいだで交わされる。

明日は日本に帰らなければならない、という日に、息子が恩地に尋ねる。
「させん、されたの?」
まだ、左遷という言葉の意味もわからず、何か悪いことだ、程度しかわかっていない。
恩地は子どもの心を慮って、伝える。

「克己、お父さんはどんな場合も、誰に知られても恥ずかしくないようにしてきた。それでもうまく行かないことが、世の中にあるのだよ、それはお前が大きくなったら解ることだ」

息子の克己は答えない。
娘も、恩地と一緒に日本に帰りたい、と縋る。


…恩地は心が乱れそうになったが、日本で孤立している組合員のことを思えば、親子の情に流されることなど、許されなかった。


え? そうなの?
子どもに慕われるからこそ、縋られ、理解あり黙って恩地の支えとなる貞操な妻が、苦しんでいるのに、“組合員”なの?

“大きくなっている”わたしには、お父さんのこの決意は、わからない。

正義、なのか?
家族を犠牲にしてまでの?

現在もこんな風に戦っている組合、ってあるのかなぁ。
まだ戦後間もない頃を感じさせる時代の話、だったらいいんだけど…。

組合のために、同僚のために、こんな風に犠牲を強いられているような仕組みじゃ…。
ないよね?


次は、いよいよの「御巣鷹山篇」。
買ってはあるものの、裏表紙に「日本に帰国した恩地に国民航空は追及の手を緩めず…」とあって、また暗い気分になってしまった。

まだ、いじめられるの?

アフリカでのタフな生活から、日本に帰国してもまだ、辛いことにあうことが想像されると、一回休み。
戦っている恩地さん、ごめんなさい。


新潮文庫。


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